不眠症とは
睡眠には、個人差があり、7時間以上睡眠を取っても「熟睡できていない」と感じる場合があったり、3~4時間の睡眠時間でも満足している人がいるなど人それぞれです。不眠症の診断で重要視されるのは、患者さんご本人が安眠・快眠できていないと自覚する状態が続いているかどうかです。なかなか寝付けないなどの寝つきの悪さや、夜中や早朝に目が覚めてしまう、熟睡感がないなどの睡眠トラブルが、日中の生活に支障が出始めて、それが慢性的に続くようなら不眠症の可能性があります。
不眠症の原因
睡眠トラブルの原因として、「環境要因」、「生理的要因」、「心理的要因」、「生活習慣的要因」が挙げられます。ライフスタイルの多様化や24時間社会での生活リズムの乱れ、過度なストレス、高齢化などさまざまな要因で不眠症を訴える患者さんが増えています。日本では、成人の約5人に1人が睡眠トラブルを抱えているとされています。質の良い睡眠は、生活の質の向上には欠かせません。日常生活に支障をきたす前に、気になる症状がある方は、当院に気軽にご相談ください。
環境的要因 | 入学や就職、引っ越し、季節の変わり目など |
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身体的要因 | 身体疾患による夜中の頻尿、皮膚病による痒み、更年期のホルモンバランスの変化など |
生活習慣的要因 | 入眠前の過剰なネット利用やスマートフォン操作、アルコール、喫煙によるニコチン摂取、コーヒーなどのカフェイン摂取過多など |
心理的要因 | 人間関係の悩み、イライライ、不安など |
根本的な原因を明確にすることが大切です
睡眠トラブルの解消には、根本的な原因を突き止め、適切な治療を行うことが大切です。不眠には、睡眠薬や睡眠導入剤を使用することで解消できますが、根本的な原因が明確になれば、お薬に頼らず快適な睡眠を得ることが可能です。
さらに、不眠はうつ病やその他の精神疾患の症状の一つとして現れるケースがあることから、専門の診療科を受診し、根本的な原因を見つけることをお勧めしています。
不眠症の種類
入眠障害・中途覚醒・熟眠障害・早朝覚醒の4つに分けられます。
入眠障害
寝つきが悪く、入眠までに30~1時間以上かかり、なかなか眠れないタイプです。心配ごとやストレスが原因となって起こりやすく、一度寝てしまえば朝まで眠れることがほとんどです。不眠症の中でいちばん多い症状です。
中途覚醒
寝つきは良いが寝ている途中で目が覚めてしまい、その後眠れなくなるタイプです。
熟眠障害
十分な睡眠時間をとっているのに眠りが浅いため、目ざめたときの熟睡感がないのが特徴です。高齢者や精神的にナーバスな人に多く見られます。一方で、肥満や鼻の構造に問題があるなどが理由で、睡眠中に呼吸が上手にできなくなっている場合もあり注意が必要です。
早朝覚醒
寝つきが良くすぐに眠れますが、朝早く目ざめてその後は眠れないというタイプです。うつ病の方や高齢者に多く見られます。
不眠症の治療
基本的に、生活習慣の改善と薬の服用が中心です。不眠の原因となる疾患があれば、その疾患の治療を行うことが大切です。
生活習慣の改善
不眠が軽度の場合、お薬に頼らず、生活習慣の改善を心がけましょう。入眠前は、音楽や読書でリラックスする時間を作ったり、眠りやすい環境を作るために部屋の温度や明るさを調節するなど工夫をして眠ります。また、食事は就寝時間の4時間前までに済ませ、入浴は1~2時間前を心がけるなど生活リズムを整えます。朝起きたら、朝日を浴びて体内時間を整えてあげるのも効果的です。
薬の服用
途中で目が覚めてしまう、朝早く目覚めてしまう、なかなか寝付けないといったように、それぞれの症状に合わせて睡眠薬を処方します。必要に応じて、抗うつ薬や抗不安薬などが用いられます。睡眠薬は、お酒と一緒に飲むと効果が高まりすぎて、呼吸抑制などの危険が生じるので注意が必要です。服薬は、医師の指示に従って、用法・用量を守って服用しましょう。
なお、これまで服用してきた睡眠薬を急にやめてしまうと、リバウンドで不眠症状が悪化する場合があるので注意が必要です。やめるときも段階的に医師の指示に従って行います。