パーキンソン病

パーキンソン病について

パーキンソン病パーキンソン病は、手足の震えやこわばり、転びやすくなる、動作が遅くなるなどの症状が緩徐に進行する病気です。ごく初期には嗅覚障害や睡眠障害を生じることもあります。パーキンソン病罹患者は、人口10万人あたりに100人以上と言われていて、神経変性疾患である神経難病のなかでは、アルツハイマー病の次に患者さんが多いとされています。また、パーキンソン病の患者さんには、認知症を発症するリスクが高い傾向にあること、男性に比べて女性の方が発症しやすいこと、主に50~60歳代以降に症状が出始めるなどの特徴があります。一方で、若年性パーキンソン病のように、若い方でも発症する例もあります。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の代表的な症状として、以下の4つの特徴が挙げられます。

  1. 振戦(しんせん)
    手や足、顎、頚部、身体全体に起こる震え
  2. 無動
    ゆっくりとぎこちない動作になること
  3. 筋強剛・固縮
    手足の筋肉が硬くなる状態
  4. 姿勢反射障害
    倒れそうになっても立ち直れない

このような運動症状のほか、頻尿や便秘、睡眠障害、記憶障害、うつ、腰痛などのさまざまな非運動症状も見られます。パーキンソン病は、病気の進行が遅いため、最初はさほど深刻な症状として認知されない場合があります。早期に適切な治療を行わないと、だんだん症状が重症化し、日常生活に支障をきたします。症状の重症度(Yahr分類)は、Ⅰ度からⅤ度までの5段階で、Ⅰ度は身体の半分にとどまっていますが、Ⅴ度まで進行すると車いすが必要であったり、寝たきりの状態になってしまいます。

パーキンソン病の検査・診断

まずは、問診でどのような症状がいつ頃から出ているのかを、丁寧にお話を伺っていきます。神経学的診察、頭部MRI検査、血液検査などで総合的に診断を進めます。SPECT検査でドーパミン神経の変性や脱落の状態を評価することもあります。パーキンソン病に似た症状を呈するものをパーキンソン症候群と呼び、脳血管性パーキンソン症候群や薬剤性パーキンソン症候群などが有名ですが、これらはパーキンソン病とは異なり区別が必要です。

パーキンソン病の治療

パーキンソン病の症状を緩和する薬物治療を行います。主に、脳内で不足しているドーパミンを補う目的のレボドパ製剤や、ドーパミンと似た作用をもたらすドーパミンアゴニストなどがあります。これらを治療薬の中心とし、その他ドーパミンの代謝を阻害する薬やドーパミンの効果を底上げするような薬の併用も病状を見ながら行います。
これらの薬物治療によって、身体の震えや筋肉のこわばりが改善していきます。
また、病状が進行すると定位脳手術や脳深部刺激療法という脳外科的手術が選択されるケースもあります。身体が動かしにくくなると、リハビリテーションが思うように進まず、さらなる症状の進行を招いてしまいます。従って、できる限り早い段階から運動に取り組んで、身体を動かすことを日課として上手に習慣づけることが大切です。有効な動きは、身体のこわばりをほぐすストレッチや階段の昇り降り、歩幅を大きくとりながら歩く練習、バランス感覚や筋力をつける運動などです。

パーキンソン病の予防・注意点

パーキンソン病の症状を上手にコントロールするためには、主治医としっかりと相談しながら治療を進めていくことが大切です。薬物療法の進め方や薬の量の調節、運動療法の方法や負荷のかけ方など、自己判断することなく担当医の指示やアドバイスに従うようにしてください。また、転倒は症状を悪化させてしまう要因になるため、家の中の動線がスムーズに行えるよう整理して転倒予防を心がけましょう。場合によっては、手すりを設けたり、バリアフリーにするといった対策もお勧めです。

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